もう2年も前になるかなぁ。
どしゃぶりの雨の中・・俺は、那珂川の川っぺりに仕事で行ったんだ。・・・水道の取水口があって、人気の無い川原の空き地・・・・川を見ていた俺のふくらはぎの辺りを、何かがたたいたんだ。
振り返って足元を見ると子犬。
真っ白なムクムクした毛色の子犬が・・・雨と泥に汚れて、きったなく汚れて・・・捨てられたんだな・・・びしょびしょどろどろの右手・・じゃない・・・右前足で、俺のふくらはぎあたりを・・・トントン・・トントンとたたいてたんだ。・・ほんとにトントン・・トントン・・"連れてって・・いただけませんか?”確かにそう言われた気がしたんだよね。・・・・・・・ここまで、頼られたら・・・しょうがないでしょう。・・・たぶん隠れるところもないこの川原で雨の中、一晩たったら・・・まいってしまうのは目に見えてる。
仕事中だったんで・・夕方、仕事が終わるのをまって・・・ホームセンターで買ってきたバスタオルとドッグフードとダンボール持って・・・川原へ・・・いた。いた。
バスタオルでごしごし拭いてやったら・・・・きれいになった。ダンボール箱にタオルごと入れて後部座席に押し込めて・・・・しばらく帰ってない実家へ向かう。・・・・ごめんな。俺のアパートでは・・・犬は飼えない。お茶菓子としばらくはもつだろうドックフードを付けて・・・・義理の姉と親父様に・・・頼み込んで番犬代わりに・・・義理の姉・・兄の嫁さんには、あまりいい顔されなかったけど・・・何とか飼ってくれるとのこと・・・・よかったな。・・・お前は俺の柔らかいところ刺激してくるあたり・・・世渡りじょーずだから・・・大丈夫。可愛がって貰えるよ。
落語「元犬」によれば、白い犬は人間に生まれ変われるらしいぜ。・・・・可愛がってもらえよ。お前は、「ちんちん」と言われてもチンチンなんか出来ないし、吠えないから、親父達しくじることはないだろう。
先週末に、小学校から連絡があり、黒い大きな犬が学校の校庭をうろついている。危険なので何とかして欲しい。・・・校長先生から・・・軽トラックに檻をのせて、学校に到着・・・事業中の学校の校庭は、静かで犬は見当たらない。・・「さっきまでいたんですけどね・・・・」・・・・出来れば見つからないでいてくれと思う。見つかったら捕まえないと行けない・・・捕まえれば、連れて行かなければならない・・・連れて行けば・・・・
学校の周りをを1週したが、見つからない・・・・・帰ろうと校門を離れた、その時・・・いた!
車を道路わきに止めて・・・・・・「・・・・・おいで。」と呼ぶ。・・・・「・・・おいで!!」警戒しながら、でも尻尾を振りながら寄ってくる・・・・(来るんじゃねぇ・・どっか行っちゃえよ・・)・・・・「おいで」・・持ってきた餌で、近くまでおびき寄せる。お腹すいたか?・・・首輪はない・・・毛並みがきれいな・・・全身真っ黒だ。・・飼い犬だったな。最近まで・・・・餌を食べてる隙を見て、持ってきた麻紐を首に巻きつける・・一瞬、ガウゥと吠えて、かまれそうになる・・・でも、飼い犬でかみなれてないから、よけられる。・・・紐を引っ張って檻に入れる。・・・・多少の抵抗は、あったけど檻に入ったらおとなしい。・・・悲しそうな・・・心細そうな目をしてる。・・・・・なんで、学校なんかに侵入するんだ・・・子どもいるんだぞ・・つかまなきゃしょうがないだろう。
県の動物指導センターに運ぶ。受付をして犬を引き渡す。
抵抗もせず、しっぽふりながら消毒液のにおいのする大きな檻に引かれていった・・・少しは、抵抗しろよ・・・優しい犬だ。・・・・こんな優しい犬なんで捨てるかなぁ。
初めて、迷い犬を動物指導センターに搬入する仕事をした。センターの職員は愛想なく・・事務的に変な感情移入をせず・・・たんたんと犬を扱う。・・・そうしないとやってられないんだろうな・・・一々感情移入してたら大変だ。・・・・この後、センターのホームページに迷い犬として写真入で登録・公開されて・・・何日かすると処分される。・・・・ホームページに載ってる犬の写真はどれも、悲しそうな顔をしている。
捨てるんじゃねえぇ!
黒い犬なら・・・落語「鴻池の犬」
大金持ち、大家の鴻池さんに見初められて飼われる「クロ」・・・・シーこいこいこい。
出来れば・・・センターに連れてったクロも持ち主に帰るといいな。
実家のシロは、その後、義理の姉に気に入られ・・・もう、猫っ可愛がりされているそうだ。・・犬なのに。
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