ページビューの合計

2011年4月5日火曜日

昨日と同じ今日はこない・・・・・きつい日もあるけどさ

今日、仕事で訪ねた81歳のおじいさんとおばあさんの二人暮らしのお宅は、地震で屋根の瓦が落ちて部屋の柱とハリは、ずれてほとんどの壁は、はがれて下地材がむき出しになっていた。
トイレの壁のタイルは大きなひび割れが出来ていた。玄関の引き戸はこわれたらしく厚手のベニヤ板が打ち付けてあった。・・・・・地震前は、大きな屋根と太い良く磨かれた柱が何本も使われた田舎としても立派だといわれるようなお宅だったろうに・・

訪ねたとき、81歳のおじいさんは、はしごをかけた納屋の屋根の上でこわれた屋根瓦を這うようにして補修していた。「よく来たねー、今降りっから・・・」屋根のはりに黄色と黒のトラロープを結んで、ひもの反対側を体に結んで命綱がわりの、そのひもを体からほどきながら・・なんか様子が変だ・・・右手と右足が言う事をきいてない。屋根から降りてきてわかった。脳梗塞の後遺症で右半身が不自由だ。はしごを押さえてあげようとした俺を・・・瓦落ちると危ないから、下にいねーでくれと、追っ払って・・・右足を左手で持ってはしご段に乗っけるというような一人二人羽織みたいなやり方でおりてきた。下におりて俺から側に置いてあった杖を受け取ると、足を引きずりながら・・・家の中の地震の被害状況を見せてくれた。

ひと通り見ながら説明してもらった後、おばあさんが入れてくれた、お茶を飲みながらベニヤ板で光の入らない薄暗い上がりがまちで話をした。
「この歳で・・・家がこんなになって・・もうやってけねえかなあ・・・子供らは一緒に住むかと言ってくるが・・・子供らは勤め人で、きれいにしてっけど・・・俺らは百姓で・・・きたなくしてるしなぁ・・・
屋根駄目だから・・・雨降ったらぬれっちまうから・・・布団にビニールかけてんだ・・・(おじいさん笑う)・・・・・・・テレビ見っと・・・東北で子供ひとり残されて・・・津波で家族流されて・・・・かわいそーだな・・・(おじいさん泣く)・・・・

脳梗塞の後の感情失禁の症状・・・そういうもんであろうと・・理屈ではわかるけど・・・81歳に泣かれると・・・言葉ない。脳梗塞で片麻痺でも・・・ひとりではしご登って・・・屋根直そうとする気丈さと80年以上生きて積み上げてきたものが・・・一瞬でぼろぼろになって途方にくれてる・・・気持ちと・・

お茶のお代わりを辞退して・・・みかんとおせんべいを防寒服のポケットに押し込められるように、おばあさんに持たされて帰ってきた。
「俺みたいなもんが余計なこと言うようですけど・・・・屋根は危ないから・・・子供さん訪ねてくれたときか、業者さん頼んだ方が・・・どこも混んでてなかなか来て貰えないでしょうが・・・時間かかっても・・・・少しずつ・・少しずつ・・・直していきましょうよ・・・」
もっともらしいこと言って帰ってきたけど、おじいさんまた屋根に登るんだろうな・・・・でも、しょんぼりしちまうより・・・危ないけど・・・負けないおじいさん。頑張ってください。俺は俺の仕事で。

伝助さんが、以前に滝平二郎さんの切り絵で話題にしてた「ベロ出しチョンマ」(斉藤隆介 作)実は私も大好きです。・・・大好きと言ってしまうのは、はばかられるほど哀切な話だけど・・
・・・・親の直訴の罪を受けて・・・はりつけになる12歳のチョンマ、長松と3歳のウメ・・・ウメが怖がらないように、笑って怖さを忘れてしまえるように長松は、精一杯の面白い顔を見せる・・・下がった眉毛とべろを出して・・・・

止まらない放射能や地震の余震・・・いつまで続くのか風評被害の農家や漁師さん・・・経済や産業は・・頼りにならないのか政治家や学者先生・・・・・みんな怖い・・・大人だって怖い・・・せめて一瞬でも、怖さに負けないように・・・みんなが怖がらないように・・・笑ってしまえるように・・・
他人には笑える・・・そんな顔を・・・ほっとさせるそんな顔を・・・たとえ、はりつけにされてしまうとしても

0 件のコメント:

コメントを投稿