夏は怪談だ。
桂小文治師匠の「十八番創りの会」で「幽霊の辻」を聞く。
小佐田定雄さんが亡くなった桂枝雀に書いた新作落語・・・学生時代に初めて聞いたときは、こんな面白い落語を書く作家さんがいるんだなぁ、と驚いた。これと「雨乞い源兵衛」なんかほんとにおもしろかった。
堀越村まで手紙を頼まれた男が、幽霊の辻(ゆうれんのつじと読むべきでしょうね)を通るにあたり、峠の茶店でばあさんに道を尋ねると、途中にある「水子池」や「首なし地蔵」や「父(てて)おい橋」、「首くくりの松」といったポイントのいわれを頼んでもいないのに聞かされて、すっかりおじけずいたところで、提灯を持たされて、茶店のばあさんもいなくなる。
・・・・・この茶店のばあさんがいいんだ、夕暮れの山道、峠の茶店の先で夕日に向かって、ふたり手を合わせる・・・「今日も一日ありがとさんでございました。明日もまたよろしゅうお願いいたします。・・・ほら、あんたも、ボーっとしとらんで、一緒に拝みなせえ。」・・・・・夕暮れが迫ってくる、・・・・・この噺は、怪談だけど、怖がらせるだけの噺ではないですよ・・・・・というのが、このくだりで見える。
婆さんから聞かされる噺は陰惨で救いがない話だけど、不思議に不快ではない。ただ怖さだけがある。この、いわれを聞いて、おっかなびっくり走り出せば、下げに向って怒涛のエンディング・・・・・
でも、元が上方の落語を東京に持ってくるにあたり、柳家権太楼さんあたりが、下げを変えたようで・・・・・「お化け屋敷だった」下げ・・・・・に直したようで・・・・俺は、枝雀さんがやってた下げの方が「余韻」とか「怪談」として好きだけどなぁ・・・・好みなんだろうけど。(具体的内容はあえて、書かないよ。ネタバレになる)
そんで、会場で俺が4年の時の1年だった「夢三亭小夏」ちゃんとその娘さん「ちび小夏ちゃん」会う(ちびって言ったって、お母さんにそっくりな女子大生さんだけど)
後姿なら問題ねーでしょう。客もよく入ってる。いい感じです |
彼女の芸名?高座名は当時、私がつけさせてもらった。あの頃つかこうへいさんの芝居追っかけてみてたからなぁ・・・・もちろん出所は「蒲田行進曲」の小夏からとった。根岸李衣さんがやってた。「ヤス」は、平田満さんではなく柄本明さんが、「銀ちゃん」は、加藤健一さんだったか、風間杜生さんだったか・・・・後に映画化されたけど、芝居の方は、舞台装置や衣装やら極力排除したシンプルな舞台の「階段落ち」・・・・・・面白かった。・・・・・いとしいほど大好きなのに、傷つけあわないとそれを確認できない、表現できない不器用な男と男・男と女・男と女と男・・・・・
二十歳前後の田舎から出てきた工業高校から文学部入ったあんちゃんには、そんな舞台がまぶしかった。・・・・まあ、そんなあんちゃんには、都会で観る芸能は、なんでもまぶしかったんでしょうけどね。
さて、そうやって命名した「小夏」ちょっと反省してます。蒲田行進曲の「小夏」は、生きていくのが不器用な、ひねくれたでもしたたかな、可愛い女として出てきます。
比べて夢三亭の小夏ちゃんは、昔から素直でまっすぐでした。そっくりな娘さんと、落語見ながら楽しそうです。すっかり、ひねくれた落研くずれの先輩にも、くったくなく、あいさつくれて話しかけてくれます。・・・・・わかんねえけど幸せというやつは、こうゆう人のためにあるんだろうなと思った大福先輩でありました。
・・・・・もちろん、小夏ちゃんの今の何を知ってるわけでもないんですけどね。
昔、「熱海殺人事件」を落語に直してやってみたいんですよね、と言ってた。落研の後輩「バキ」が、居酒屋をやめちゃったと、小夏ちゃんに聞きました。大丈夫か。頑張って生き延びろよ。大きなお世話だけどさ・・・・・そう大福、お前が頑張れ・・・・・・はい。
第44回桂小文治十八番創りの会
平成26年7月14日(月)内幸町ホール 午後7時開演
開口一番
古今亭今いち・・・・・・初天神
今輔師匠のお弟子さんらしい・・・・・今輔さんって言っても、この前座さんは新作やらないのね、オーソドックスな古典なのね。
神田きらり・・・・・・・・「山内一豊の妻」
講談界の宮里藍と言ってた。沖縄顔なんだわね。パンパン、パパパン・・・・いい調子で 聞いちゃいました。内容はへそくりで旦那の欲しがってた馬買っただけなんだけど。気持ちいい。
桂小文治・・・・・・・・「青菜」
植木屋のおかみさんを化け物みたいにデフォルメしたりはしない。ほどよく。
―――――― 仲入 ―――――――――
コント青年団・・・・・コントレオナルドのような・・・コントユートピアのような・・・・・長いよ!真打の小文治さん楽しみなのに・・・・エンディングがぐちゃぐちゃで、そでに下がった
桂小文治・・・・・・・・「幽霊の辻」
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