親子でそういう病気で・・母親の調子が悪くなると息子さんも調子が悪くなり・・・病院にも行かなくなる。問題は母親・・・最近は夜、眠らないらしい。
今回は、息子さんを病院に連れて行く、その同行をお願いする形で・・・・本命の母親を病院に受診させる作戦。
保健所職員、保健師、ケアマネージャーとボディーガードも兼ねて私が・・・・・午前中の、のどかな田舎の一軒家を訪ねる。
「こんちは~~」
庭先と縁側にご老人の夫婦・・娘さん・・・民生委員さん・・・・あれ?・・・息子さんがいない・・・
「息子さんは?」
「自転車で出かけた・・」・・・・・・えっ?・・これは、展開が違ってきたぞ。・・・本命のお母さんの様子を見ると・・・・
「私は行かない!・・・・絶対行かない!!〇×△◆@$аЯШ~(解読不能)・・・・行かないからね!!!・・・・・・」
近くで老人のお父さんが・・・「お前が行かないで、どーすんだ!!行けーーー!」と椅子に腰掛けたまま、空に向かって叫んでる。
・・・・・・・・・・・・俺は思う・・・(駄目かな?・・こりゃぁ・・)・・・・・・・・・・・
保健師さんは、あきらめない。じっくりと話を聞き・・・説得する。
「天気いいですねぇ・・・・お出かけには絶好ですよ・・・・ぼたん桜とか、遅咲きの桜、まだ見られますかね~・・・」
お母さん「絶対行かないよ!」・・・・・・・お父さん「行けって言ったら・・行けー!」
だんだん頼んであるジャンボタクシーの到着時刻が迫る。・・・と。
そこへ、息子さんが自転車で帰ってきた。・・・・・・みんなにらんで「おはようございまーす」
「あ?!・・・みなさん・・おはようございます?」
「どこ、いってたんですかぁ・・?」
「あ・・朝ごはん食べないと・・・パン買って来ました。パン!、パン!、パン・・・連呼しながら食パンを食べはじめる。)」
その間も、お母さんの説得は続く・・・「息子さん帰ってきたし・・・・そろそろ・・行きましょうか?」
「行かないったら、行かない!!〇×△◆@$аЯШ~(不明)」
保健師さんもケアマネさんも民生委員さんも・・そして私も・・・みんな、ニコニコしてしゃべってるけど・・・みんな目が笑っていない・・・奥の方に血走ったものが・・・・
病院の予約の時間が迫ってきて・・・事態は進展しない中・・・関係者がアイコンタクト・・目配せを合図に、保健師さんがお母さんの腕を両脇から、むんず!・・・とつかむと、・・・・・ちょうど到着したジャンボタクシーにズルズルと引きずられながら・・・・
「やだーーー!・・やだーー!・・・・行かない!行かないよー!」
いい天気の、うららかな田舎の風景の中に響く・・・叫び声。
「やめてくれー!! やだ! やだ! やだーーーーーっ!!」
つかまれた保健婦さんの腕に噛み付いて、振りほどこうとするお母さん・・・かわす保健婦さん
「やだーーーーーーー!」
ここで、思い出したのが・・・・(思い出すな!状況が違うだろう・・名人八代目の桂文楽さんごめんなさい)・・・・・落語「明烏」(あけがらす)・・・・堅物の若旦那、田所町日向屋半兵衛のせがれ時次郎を親父の半兵衛さんから頼まれてお稲荷さんのおこもりだとだまして連れ込んだ吉原・・・・ことし十八になる絶世の美人のおいらん浦里・・・・そのおいらんの部屋に無理やり送り込まれるときの・・・・・
「・・・・・・たすけてください。・・源兵衛さーーん、多助さーーーん・・・・」
このシーンが浮かんできた。・・・今回は、状況が違いすぎだけど・・・浮かんできてしまったんだからしょうがない。
さて、庭先では・・・
「息子さんも準備してくださーーーーい。病院行きますよーーーーっ。」
事態の急変に対応できない息子さんは・・
「だ・・・だ、誰かパン食べないですか?・・・・パン、パン、パン、・・・」
なんとか全員をタクシーに乗せ・・・・田舎道をガタガタはしるタクシーの後部座席の保健婦さんの手には、しっかりとむきだしのパンが握られておりました。
誰もほめてくれるわけではないけど・・・・・当事者もいつか忘れてしまうことだろうけど・・・・保健師さん達は、ほんとに一生懸命だったこと・・・俺は覚えておくことにする。
道の駅茂木の鯉のぼり |
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