東京のナンバーのタクシーが、もう3日も停まっていれば、いくら田舎の山道でも通りがかりの地元の人の目にとまる・・・・ましてや、運転席に人が乗っていればなおのこと・・・
通報をうけた地元警察の方と日の暮れた、山道の現地近くで待ち合わせた・・・場所は、公園墓地・・あんまり気持ちのいい待ち合わせ場所ではない。
少し行くと・・確かにタクシーが1台・・・・「今晩は」・・・声をかけで運転手に話を聞く。
事前に地元の駐在のおまわりさんが接触して本人から話を聞いていたので・・確認。
死にたいのだそうだ・・・借金もあり、アパートの家賃も滞納して東京でのタクシー生活もみんないやになったので・・・・あちこち放浪して・・・ここまで来たが・・・・所持金もつき・・・・タクシーの燃料もほとんど残っておらず・・・3日何も食べてない・・・このまま餓死したい・・・ほっといて欲しい。とのこと。
おまわりさんが、コンビニで買ってきたおにぎりや俺達が持ってったジュースも受け取らない・・・
押し問答になる・・・・警察官の言うことは・・・何とか聞いてくれたが・・タクシーってやつはガソリンじゃなくてLPG・・液化天然ガス?・・なんたら言うものを燃料とするそうで・・・・そんなスタンドはこんな山道の近辺にない・・・あっても夜遅くて閉まってる・・・・第一・・・本人お金持ってないし。
本人は、このままタクシーにいる・・あんたらは、帰ってくれと・・・
俺は、それでもいいと思った・・今晩はタクシーにいてもらって明日燃料は何とかすれば・・・と・・・
警察は、それは駄目だと言う・・・・「死ぬ。と言ってる人をここに置いとくわけには・・・・」
再度、押し問答のすえ、警察官の説得により・・・車を離れ・・・とりあえず・・警察署まで行くことになった。・・・・・警察署で話を聞き、説得し、死んだりしないと約束させ・・・で、警察署に泊めてもらえるんでしょ?・・・・・警察署には泊めることは出来ません・・・・(俺達)へっ!?・・・・・じゃぁ、どうすんのよ・・・ここからは、あなた方、福祉のしごとでしょう・・・(俺達)信じられん。
病人でもない。生活保護でもない。・・・ただ死にたかった。と言ってるだけの人を(今は死なないと約束した人を)・・・今日、今すぐ何とかする制度なんて福祉の方でもねえぜ。
お金、出どころがないぜ。
こんな時、思い出しちまうのが「文七元結」・・・落語だ。吾妻橋のたもとで集金したお店の大事な50両、すりに盗られたと思い込んで身投げしようとした文七に・・橋の上で出会ってしまった左官の長兵衛さん・・・返せなければ娘が吉原に身をしずめることになるのを条件に借りた50両がふところに・・・・・そんなお金見ず知らずの若者にあげるか・・・そんなおせっかいありか・・・
思い出しちまったんだからしょうがない・・・あちこち電話をかけ、格安の宿、素泊まり4000円ちょっとの宿に、夜なのに頼み込んで・・・連れてって・・・くそっ・・俺の自腹で・・・・泊めて、宿代にちょっとだけ上乗せして朝食だけ付けてもらって・・・・次の日、朝迎えに行って・・・生活保護の話もしたけど、親族に連絡したりして、タクシー燃料満タンにしてあげて・・・東京へ返した。
大事な50両とは比べようもないけど・・・俺の自腹は返ってこないよなぁ・・・
他に方法あったかなぁ、常習犯かなぁ・・・でも、あのおじさんどっかで再出発してくれるといいな。
皇居、千鳥が淵周辺の桜を見てきた |
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