「・・・・・えーっ、そちらの管内の河川敷で発見された頭部の無い遺体の引取りの件なんですが・・・・」
4月から入った新人さんが警察からの電話を受けて「ど・どぅしたら・・いいんでしょ・・?」・・てな顔でこっちに救いを求めるから・・・訳わからんけど・・・「電話こっちまわしてみぃ・・・」と受けた電話の内容がそれだもん。
よーく、話を聞くと・・・以前に近くの川原で首の無い白骨化した遺体が発見されて・・検視とか解剖とか、同時期の行方不明者とのDNA鑑定とか終わったんで、事件性ないし・・・そっちで遺体を引き取ってね。という電話でありました。・・・・・・軽いタッチで説明したけど・・ほんとにびっくりしたぜ・・・茨城弁で「あっぱ・とっぱ」したな。
これから、お願いできる葬儀社捜して・・・役場で警察で貰った検案書みたいなの付けて火葬許可書出してもらって・・・ここで身元不明の遺体が発見されましたよ、性別・年齢・身長・所持品・・・こんなんですよ心当たりないですかって、官報に告示して・・・60日ぐらい何もないと・・・無縁仏。
これで、費用15万円ぐらいかかるそうで・・その費用は、亡くなられた首の無い御本人がお金所持してなければ・・・・皆様の税金等により支払われることになります。
で、思い出したのが「黄金餅」という噺。
溜め込んだ、一分銀、二分銀を餅にくるんで飲み込んで死んだ坊主の西念。この腹からその金を取り出すには、焼き場で骨揚げのときにさらってくるしかないと考えた金山寺味噌売りの金兵衛さんの噺・・・・・古今亭志ん生の録音と立川談志の高座で観てる(今日は敬称略)
。
よーく考えてみれば、悲惨な陰湿な噺なんだけど、明るいんだよね・・・どう、考えたって不道徳で、・・・「この金を元手に、目黒で餅屋をやって大そう繁盛をしたという、黄金餅、由来の一席でございます。」・・・・・商売繁盛、おめでたい・・・って噺にしちまうんだぜ。
落語には、善人しか出てまいりません。・・・嘘つけ!
落語は、すごい。
現実は、・・・・・・明日、その身元不明の・・・「行旅死亡人」さんの火葬に行って来ます。
「金魚~ぉ・・・金魚~ぉ・・・みぃ金魚~ぉ」は、さすがにやれねえや・・・・
たぶん、自殺だろうけど・・川原で死ななければならなかった理由は・・・・・誰も知らない。・・・知ろうともしない。・・いいのかよそれで・・首のない人。
水戸の桜 |