ある日、仕事を終えてアパートに帰るとアパートの外装の塗り替えがあるとかで、周囲にぐるりと足場が組まれて、私の2階の部屋のベランダに通じるアルミサッシの引き戸・網戸には、外のベランダ側から厚手のビニールシートが一面に貼られてガムテープ止めがされていて、部屋の中からベランダに出ることが出来ない状態になっており、部屋の郵便受けには、大家さんからの一通の手紙が・・・
「前略
お世話さんです。大家でーす。明日、アパートの外装の塗り替え作業とベランダの床の防水加工もしますので、ベランダのお荷物を移動して下さーい。・・・・」と言った内容。
ひえーっ!!「本日中に?・・・しかも、目張りされて部屋からベランダに出られないのにー?」
その晩、むし暑いとあるアパートの周りに組まれた足場をよじ登り・・・
外からベランダに飛び移り・・・
ポリボックスに入った「団鬼六 縛りものシリーズ」とか「悶絶 海女(あま)シリーズ」とか「人妻 不倫旅行シリーズ」なんぞというビデオをベランダから足場へ・・
・また、ベランダから足場へ・・足場から下へ・・・
仕事帰りの8時過ぎに・・・汗、ぐっしょりかきながら・・・インポッシブルなミッションを・・怪しい動きを繰り返すおっさんの姿が・・
・(俺は、トム・クルーズか?)・・・時には、落っことして・・団鬼六さんが下の駐車場に散乱して・・・あわてて回収したり・・・
で、思い出す。物置代わりに使ってた長屋の空き店・・あきだな、一軒家を・・・大家に言われて、あけるのは面倒だ。と・・・借りに来る人を怪談話で追い返す・・・落語「お化け長屋」・・・・・強引な引用・・ですいません。
都内に大雨警報も出た、新橋の内幸町ホール「桂 小文治 十八番創りの会」見に行ってまいりました。
先日、ブログに専修大学落語研究会の発表会「みな好き会」を観に行ったけど、補導出演の桂 小文治 さんの落語「長短」・・途中からしか聞けなかった・・残念。と書いたのを・・たぶん読まれた世の助さんが、余った招待券を1枚送ってくれたわけで・・・世の助さん、ありがとうございました。
たっぷり、観させていただきました。・・・で、この日の噺の一本が「お化け長屋」・・やっと、たどり着いた。・・・・小文治 さんは、長屋の空き家を借りに来る人を追い返す理由は、空き家をつくっておくことで大家に店賃の値上げをさせないようにするんだという理由づけでやっておられました。
その声で・・そのトーンで話されるから笑ってしまう・・ってことありますよね。ハイトーンボイス・・・顔芸・・じゃないけど・・その表情も・・すげー熱演で・・所作もきれいでいい形・・・・録音なんかじゃなく・・やっぱり高座でみるべき噺
目立った高校生?集団 白が飛んでますが小文治Tシャツ着てました |
この、「小文治十八番創りの会」へのとっくみ方が評価されて芸術祭の賞かなんか、いただいたんでしょう?・・・・・・・・お客さんと一緒に創りあげてこられたんでしょう、いい独演会ですよね。下座の三味線もおかみさん?・・・・生演奏・・いいっすよね・・・・おかみさん、開演前のロビーで販売中の「小文治Tシャツ」・・・・・紋付ですよ・・・・・を、着てご披露なさってた・・・・
優等生的・・・と、評されている人もいたけど・・・・・・俺はいい時間だったなぁ・・・・伝助さんも言ってた「ほどのいい」落語・・・・・
伝統的にある噺を壊すことから、始める落語家さんもいるし・・・その昔からの噺をそのまま、でも深く・・・掘り下げる噺家さんもいる・・・・いろいろあっていいんだと思う・・・・俺たち客はわがままだ・・・でも、この時間を・・・・この落語にどっぷりつかっている時間が楽しければそれで満足。
小文治師匠・・・真打のもう一本の噺は・・・「唐茄子屋政談」・・・・・牛じゃないけど・・・もったいないので・・・しばらくは反芻して・・・思い出して噛みなおして・・・・楽しむのであります。